この記事は中小企業のAI導入の始め方の各論です。AIエージェントの仕組みそのものはAIエージェントとはで説明しています。

AIエージェントの比較:会社で選ぶなら、今使っている業務ツールで決める

AIエージェントを比較するときは、性能より先に「今の業務ツールとつながるか」で選びます。Microsoft 365を使う会社はCopilot、Google Workspaceを使う会社はGemini、どちらにも寄らない会社はChatGPTかClaudeが候補です。

AIエージェントは、メールやファイル、予定表を読み書きして作業を進めます。普段のデータが置いてある場所とつながらないと、できることが限られます。比べる順番は「つながるデータ→データの扱い→価格」です。

会社で使えるAIエージェントの種類は?3つの型

会社で使えるAIエージェントは、次の3つの型に分けられます。

型 主な製品 向いている会社
AIサービスに付いたエージェント ChatGPT Work、Claude(Cowork) まず1つのAIサービスで調べもの・資料作りを任せたい
業務アプリに組み込まれたエージェント Microsoft 365 Copilot、Gemini Enterprise app メール・ファイルを Microsoft か Google にまとめている
ノーコードで作るエージェント Copilot Studio、Zapier Agents、Dify 決まった手順の業務を、自社用に組み立てたい
会社で使えるAIエージェントの3つの型。AIサービス型、業務アプリ型、ノーコード型
最初は、今の業務ツールに近い型から試します。

国の「AI事業者ガイドライン(第1.2版)」は、AIエージェントを「特定の目標を達成するために、環境を感知し自律的に行動する AI システム」と定義しています(総務省・経済産業省「AI事業者ガイドライン(第1.2版)」、2026-10-12取得)。3つの型はどれもこの定義に入りますが、つながるデータと、任せられる作業の範囲が違います。

主なAIエージェントの比較:できること・対象プラン・データの扱い

主な製品を、各社の公式ページの記載で比べました(2026-10-12取得)。製品名や対象プランは変わることが多いので、契約前に公式ページで確かめます。

製品 できること 会社向けの対象 会社向けプランのデータの扱い
ChatGPT Work(OpenAI) 調査・分析、つないだアプリやファイルをまたいだ作業、文書・表・資料の作成 Business・Enterprise など Business は初期設定でビジネスデータを学習に使わない
Claude(Anthropic) ファイルやツールをまたいで作業し、成果物を仕上げる。Chromeでの操作も Team・Enterprise Team は初期設定でコンテンツを学習に使わない
Microsoft 365 Copilot Business Word・Excel・Teams などの中で使う。リサーチツール、アナリストなどの既成のエージェント Microsoft 365 の契約に追加 プロンプトと応答は基盤モデルの学習に使わない
Gemini Enterprise app(Google) Deep Research などの専用エージェント、ノーコードで自作するエージェント Business エディションは300人までのチーム向け プロンプトや出力をGoogleのモデルの学習に使わない

いくつか補足します。

ChatGPT・Gemini・Claude の法人プランそのものの違いは、ChatGPT・Gemini・Claude比較で整理しています。

AIエージェントの価格は?料金の決まり方

AIエージェントの価格は、型ごとに決まり方が違います。公式ページに表示されている例を並べます(いずれも2026-10-12取得。税の扱いは各ページの表示どおり)。

製品 料金の決まり方 公式ページの表示の例
Microsoft 365 Copilot Business Microsoft 365 の契約への追加。1ユーザーごとの月額 ¥3,148(ユーザー/月相当、年払い、税抜)。期間限定の価格の案内あり
Microsoft 365 Business Premium と Copilot Business のセット 1ユーザーごとの月額 ¥4,797(ユーザー/月相当、年払い、税抜)
Claude Team 1シートごとの月額(2〜150名) スタンダードシート $20(年払い時の月額。月払いは $25、税別)
ChatGPT Business 1ユーザーごとの月額(2名以上) 年額課金と月額課金で金額が違う。ChatGPTの有料プラン比較で解説
Gemini Enterprise app シート単位・月単位 エディションごとに公式で確認
Zapier Agents 月の実行回数で上限が決まる Agents Pro $33.33/月(年$400の年払い、月1,500回まで)
Dify Cloud ワークスペースごと Professional $590/年(税別)

出典:Microsoft「ビジネス向け Microsoft 365 Copilot」、Anthropic「料金」、Zapier「Pricing」、Dify「Pricing」(いずれも2026-10-12取得)。

価格表の金額だけで比べないことが大切です。業務アプリ型は、もとの Microsoft 365 や Google Workspace の契約が前提です。ノーコード型は、作る人の時間と、動かした回数に応じた費用がかかります。

AIエージェントを選ぶ順番は?4つの手順

Coadexが会社のAIエージェント選びを手伝うときは、次の順番で決めます。

  1. 任せる業務を1つ決める:問い合わせの返信の下書き、資料の調査とまとめなど、手順が決まっていて間違えても取り返せる業務を選びます
  2. データの置き場所を確かめる:その業務で使うメールやファイルが Microsoft・Google・その他のどこにあるかを確かめ、つながる型を選びます
  3. 会社向けのプランか確かめる:学習に使わない設定と、管理者が使える人や機能を絞れることを、公式ページで確かめます
  4. 少人数で試してから広げる:2〜3人で1か月使い、減った時間と間違いの数を見てから人数を増やします
AIエージェントを選ぶ順番。業務を1つ決める、データの置き場所を確かめる、少人数で試す
製品を比べる前に、任せる業務とデータの置き場所を決めます。

業務の選び方はAIで業務効率化する方法で詳しく説明しています。

AIエージェントを比べるときに確かめる安全面とは

AIエージェントは作業を自分で進めるぶん、安全面の作りを製品ごとに比べます。確かめるのは次の3つです。

AI事業者ガイドラインも、AIに単独で判断させるだけでなく、適切なタイミングで人間の判断を介在させる利用を検討するよう求めています。外から来たメールや文書をエージェントに読ませるときの注意はプロンプトインジェクションとはで扱っています。

よくある質問

無料で試せるAIエージェントはありますか

あります。ChatGPT Work は、macOS と Windows のデスクトップ版ではすべてのプランで使えると案内されています(OpenAI「ChatGPT Work」、2026-10-12取得)。Zapier Agents にも無料の枠があります。ただし無料・個人向けのプランは会社向けとデータの扱いが違うため、社外秘の情報は入れずに試します。

AIエージェントの価格は、何人分から考えればいいですか

最初は、任せる業務を担当している2〜3人分で十分です。業務アプリ型は1ユーザーごと、ノーコード型は実行回数やワークスペースごとに費用がかかるので、試した1か月の使い方から必要な人数と回数を見積もります。

複数のAIエージェントを併用してもいいですか

併用はできますが、最初は1つに絞ります。製品が増えるほど、学習に使わない設定や管理者の設定を確かめる対象が増え、社員がどこに何を入れたかを会社が把握しにくくなります。

自社のどの業務でAIエージェントを使えばいいか分かりません

CoadexのAI活用セルフ診断で、時間がかかっている業務を選ぶと、AIで減らせる時間の目安が出ます。製品の選び方から任せ方の設計まで相談したい場合は、AIによる業務改善支援で進め方を紹介しています。

出典・参考資料