この記事は中小企業のAI導入の始め方の各論です。社員がGeminiを仕事に使い始めた会社の、経営者と総務・情報システムの担当者に向けて書いています。

Geminiのセキュリティは大丈夫か:アカウントの種類で扱いが変わる

Geminiのセキュリティは、どのアカウントで使うかで決まります。会社のGoogle Workspaceのアカウントなら、入力は人のレビューにも学習にも使われません。個人のGoogleアカウントでは、設定によって学習や人のレビューに使われることがあります。

Googleは、Workspaceのコンテンツについて「人間によってレビューされることも、許可なくお客様のドメイン外で生成 AI モデルのトレーニングに使用されることもありません」としています(Google「Google Workspace の生成 AI に関するプライバシー ハブ」、2026-10-12取得)。

会社の情報を扱うなら、まず「会社のアカウントで使っているか」を確かめます。 設定より先に、ここが分かれ目です。

項目 個人のGoogleアカウント 会社のWorkspace(コアサービス)
学習に使われるか 「アクティビティの保存」がオンなら使われる 許可なく使われない
人のレビュー 一部が読まれることがある ない
保存の設定を決める人 本人 管理者
会話を会社が見られるか 見られない 管理者がVaultで検索できる
Geminiのアカウントごとのデータの扱い。個人アカウント、会社のWorkspace、追加サービスのWorkspace
同じWorkspaceでも、契約しているエディションで扱いが変わります。

個人アカウントのGeminiは、入力が学習やレビューに使われるか?

使われることがあります。個人のGoogleアカウントでは、「アクティビティの保存」がオンの間、チャットがAIモデルの改善に使われ、その一部を人のレビュアーが読むことがあります。

Googleは「レビュアーに見られたくない機密情報」は入力しないよう求めています。保存期間は初期設定で18か月で、3か月・36か月・無期限に変えられます(Google「Gemini アプリのプライバシー ハブ」、2026-10-12取得)。

学習させない方法は2つです。

  1. 「アクティビティの保存」をオフにする:設定は「Gemini アプリ アクティビティ」の画面で切り替えます。以後のチャットは学習に使われません。ただし応答や安全確保のため、72時間は保存されます
  2. 一時チャットを使う:一時チャットは、人のレビューにも学習にも使われません。保存は72時間です

注意点が2つあります。人のレビュアーが読んだチャットは、アクティビティを消しても最長3年間残ります。また、オフにするとGmailなどのWorkspaceアプリとの連携は使えません。社外秘の情報を個人アカウントに入れないことが、いちばん確実です。

会社のWorkspaceで使うGeminiは何が違うのか

会社のWorkspaceでは、Geminiとのやり取りが組織の外に開示されることはなく、チャットもアップロードしたファイルも、人のレビューや許可のない学習に使われません。Geminiが読めるのも、その社員が開ける権限を持つファイルだけです(Google、2026-10-12取得)。

ただし、同じWorkspaceでもエディションによって扱いが違います。Googleは、Geminiアプリが「コアサービス」になるエディションと、「追加サービス」になるエディションを分けています(Google「仕事用または学校用の Google アカウントで Gemini アプリを利用する」、2026-10-12取得)。

区分 主なエディション 適用される扱い
コアサービス Business Starter・Standard・Plus、Enterprise など Workspaceの扱い(レビューも学習もない)
追加サービス Business Base、Essentials Starter、Workspace Individual など 個人向けと同じ利用規約とプライバシーのお知らせ

追加サービスとして使う場合は、個人向けと同じ規約が適用されると明記されています。会社で契約していても安心とは限らないので、管理者が自社のエディションを確かめます。プランの選び方と料金はGeminiの有料プランとGoogle Workspaceで整理しています。

Geminiで使った内容は会社にバレるか?管理者が見られる範囲

会社のWorkspaceアカウントで使った内容は、管理者が見られます。個人のGoogleアカウントで使った内容は、会社からは見えません。

会社のアカウントで管理者ができることは、次のとおりです。

使っているアカウントが個人か会社かは、メールアドレスで見分けます。末尾が「@gmail.com」のアカウントには管理者がいません(Google「管理者を確認する」、2026-10-12取得)。会社のドメインのアドレスなら、管理者がいます。

会社にとっては、これは見張るための機能というより、情報漏洩が起きたときに確かめるための記録です。社員には「会社のアカウントの会話は管理者が確認できる」と、社内ルールで先に伝えておきます。

会社の情報を漏らさないために確かめる設定の順番

Coadexが会社のGemini利用を整えるときは、次の順番で確かめます。

  1. 使うアカウントを決める:業務では会社のWorkspaceアカウントだけを使い、個人のGoogleアカウントでは使わない、と決めます
  2. エディションを確かめる:自社のWorkspaceで、Geminiアプリがコアサービスか追加サービスかを確かめます
  3. Geminiのオン・オフを決める:管理コンソールの「生成 AI」→「Gemini アプリ」から、全員か、部署・グループごとに使えるかを設定します(Google「Gemini アプリをオンまたはオフにする」、2026-10-12取得)
  4. 保存期間を決める:会話の履歴は初期設定で18か月保存されます。管理者は3か月・18か月・36か月に変えるか、履歴をオフにできます
  5. 会話の共有を確かめる:公開リンクで会話を共有する機能は初期設定でオフです。オンにすると、リンクを知っている人は誰でも会話を読めます(Google「Gemini アプリの会話の共有をオンまたはオフにする」、2026-10-12取得)
Geminiを会社で使うときに確かめる順番。アカウントを決める、エディションを確かめる、管理画面で設定する
設定の前に、使うアカウントとエディションを確かめます。

ChatGPTを併用している会社は、ChatGPTに個人情報を学習させない設定もあわせて確かめます。

設定だけでは防げないことは?入力しない情報の線引き

設定で学習やレビューを止めても、入力した内容はGoogleに送られています。何を入れてよいかは、会社で決めるしかありません。

個人情報は、とくに注意が必要です。個人情報保護委員会は、事業者が個人情報を含む内容を生成AIに入力する場合、利用目的の範囲内かを十分に確かめること、サービス側がそのデータを機械学習に使わないことなどを十分に確かめることを求めています(個人情報保護委員会「生成AIサービスの利用に関する注意喚起等」、2026-10-12取得)。

入れてよい情報の線引きは、生成AIガイドラインの作り方の雛形がそのまま使えます。

よくある質問

無料版のGeminiを会社の仕事に使っても大丈夫ですか

個人のGoogleアカウントで使う無料版は、「アクティビティの保存」がオンなら学習や人のレビューに使われることがあります。会社が設定や使い方を確かめることもできません。社外秘の情報を扱う仕事には使わず、会社のWorkspaceアカウントで使います。

Geminiの「アクティビティの保存」をオフにすれば、何も残りませんか

残ります。オフにしても、チャットは72時間保存されます。また、人のレビュアーがすでに読んだチャットは、アクティビティを削除しても最長3年間保存されます。オフは「これからのチャットを学習に使わせない」設定と考えます。

会社のアカウントでGeminiに聞いた内容は、上司に見られますか

Vaultの権限を持つ管理者は、会社のアカウントの会話を検索して書き出せます。社員が会話を削除しても、保持ルールが有効なら残ります。誰がどんな目的で確認するかを、社内ルールに書いておきます。

自社でGeminiをどの業務から使えばいいか分かりません

CoadexのAI活用セルフ診断で、時間がかかっている業務を選ぶと、AIで減らせる時間の目安が出ます。設定と社内ルールをまとめて決めたい場合は、お問い合わせから相談できます。

出典・参考資料