この記事は中小企業のAI導入の始め方の各論です。議事録を初めて任された人と、社内の議事録の決まりを作りたい総務担当者に向けて書いています。

議事録の意味とは:会議の決定と、その経過を残す文書

議事録とは、会議で何が決まり、どんな経過でそう決まったかを残す文書 です。発言をすべて書き写したものではありません。読む人が後から「何が決まったか」「なぜそう決まったか」をたどれれば、議事録の役目は果たせます。

国の行政機関の文書管理を定めた法律も、文書を作る目的を「経緯も含めた意思決定に至る過程」を後から跡付け、検証できるようにすることとしています(e-Gov法令検索「公文書等の管理に関する法律」第4条、2026-10-16取得)。民間の会議に直接かかる法律ではありませんが、議事録の考え方は同じです。

議事録の目的は?確かめるためと、伝えるための2つ

議事録を作る目的は、次の2つにまとめられます。

議事録の2つの目的と、そのために残すもの。確かめる、伝える、次に進める
決定と経過が残っていれば、2つの目的を両方満たせます。
目的 議事録がないと起きること 残すもの
後から確かめる 「そんな話は決めていない」と言われたとき、決めた事実を示せない 決定事項と、その理由になった発言
出ていない人に伝える 欠席者や他部署が、決まったことを人づてに聞く 決定事項・宿題・保留

もう1つ、次の会議を前に進める役目もあります。前回の宿題と保留が書いてあれば、次の会議の冒頭でそれを確かめるだけで、同じ議論のくり返しを防げます。

議事録と議事メモの違いは?確認されたかどうか

議事録と議事メモ(会議メモ)の違いに、法律などの公的な定義はありません。一般的には、次の違いで使い分けます。

項目 議事録 議事メモ
誰のためか 出席者と、出ていない関係者 書いた本人
確認 出席者が内容を確かめてから配る 確かめずに手元に置く
形式 社内で決めた型に沿う 自由
残す期間 決めた期間、共有の場所に保存する 議事録を作ったら役目を終える

Coadexでは、出席者の確認を経たものを議事録 と呼んでいます。会議中に取ったメモは議事録の材料で、会議後に型に沿って整え、出席者に確かめてもらってから議事録になります。会議中のメモが追いつかないときの取り方は、議事録のメモが追いつかないときの取り方にまとめています。

議事録に必ず残す項目とは:最低限の6つ

社内の打ち合わせの議事録に、法律で決まった様式はありません。どの会議でも最低限、次の6つを残します。

  1. 会議名と日時:あとで検索できる名前と、開催した日付
  2. 出席者:欠席者も書く
  3. 議題:事前に決めた議題
  4. 決定事項:決まったことだけを言い切りの形で
  5. 宿題:誰が・何を・いつまでに
  6. 保留:結論が出ずに次回に持ち越す論点

各欄の書き方と、見やすくまとめる順番は議事録の書き方で説明しています。

法律で作成が決まっている議事録とは:取締役会と株主総会

会社の会議のうち、取締役会と株主総会の議事録は、会社法で作ることが決まっています。

項目 取締役会 株主総会
作成の根拠 会社法 第369条第3項 会社法 第318条第1項
記載事項 会社法施行規則 第101条 会社法施行規則 第72条
本店での備え置き 取締役会の日から10年間(第371条) 株主総会の日から10年間(第318条)

どちらの記載事項にも、開催した日時と場所、「議事の経過の要領及びその結果」が入っています。経過と結果の両方を残すのは、社内の会議の議事録と同じ考え方です(e-Gov法令検索「会社法」・「会社法施行規則」、2026-10-16取得)。

取締役会の議事録には、もう1つ大事な意味があります。会社法 第369条第5項は、決議に参加した取締役で、議事録に異議をとどめない者は、その決議に賛成したものと推定すると定めています。反対したことは、議事録に残さないと反対したと扱われない ということです。形式に迷う議事録は、顧問の司法書士や税理士に確かめてください。

議事録の例は?社内の定例会議の場合

社内の定例会議なら、次の程度の長さで足ります。会議名・日付・内容は説明のための例で、人名はA〜Dに置き換えています。

議事録の例の組み立て。見出し、結果の3つ、議題ごとの要点
決定事項・宿題・保留を先に書き、議論の経過はそのあとに短く書きます。
営業定例 議事録
日時:2026年10月14日 10:00〜10:45 場所:会議室A
出席者:A、B、C(欠席:D) 作成:B(10月14日)

■決定事項
・展示会の出展は見送る

■宿題
・C:来期のチラシの見積もりを2社から取る(10月21日まで)

■保留
・ホームページの問い合わせフォームの項目(次回に持ち越し)

■議題ごとの要点
1. 展示会:出展費に見合う商談数が見込めないため、見送りとした
2. チラシ:来期に刷り直す。費用を比べてから決める

この型のWord・Excelファイルは議事録のテンプレートで無料配布しています。

議事録づくりにAIを使うときの考え方

議事録づくりで時間がかかるのは、録音や記憶から決定事項を拾い出し、文に整える作業です。ここは生成AIが得意な部分です。一方、何が決定で何が保留かの判断と、出席者への確認は人が行います。手順とプロンプトはAI議事録の作り方で紹介しています。

よくある質問

議事録とは、簡単に言うと何ですか

会議で決まったことと、そう決まった理由を残す文書です。後から確かめるためと、出ていない人に伝えるために作ります。発言をすべて書き写す必要はありません。

議事録は誰が書くものですか

法律で決まっているのは取締役会や株主総会などの一部の議事録で、社内の打ち合わせでは会社が自由に決められます。会議の司会とは別の人を書き役にすると、議論に集中しながら記録できます。書き役が決まっていない会社は、会議の招集者が書き役も指名すると決めておくと迷いません。

議事録は発言をすべて書く必要がありますか

社内の会議では必要ありません。決定事項・宿題・保留と、決定の理由になった発言、意見が分かれた点を残せば足ります。取締役会のように法律で記載事項が決まっている議事録は、会社法施行規則の項目に沿って書きます。

議事録を書く時間を減らしたい

議事録は、AIで時間を減らしやすい作業の1つです。AI活用セルフ診断で議事録にかけている時間を入れると、AIで減らせる時間の目安と進め方が分かります。

出典・参考資料