この記事は中小企業のAI導入の始め方の各論です。プロンプトそのものの書き方はプロンプトエンジニアリングとはで扱い、この記事ではAIにプロンプトを作らせる方法に絞ります。
メタプロンプトとは:AIにプロンプトを作らせるためのプロンプト
メタプロンプトとは、AIにプロンプト(指示文)を作らせたり、今あるプロンプトを直させたりするためのプロンプト です。「プロンプトについてのプロンプト」なので、「メタ」と呼ばれます。
OpenAIは、メタプロンプトを「タスクの説明をもとに良いプロンプトを作るか、既存のプロンプトを改善するようモデルに指示するもの」と説明し、開発者向け画面のプロンプト生成にも使っています(OpenAI「Prompt generation」、2026-10-14取得)。Anthropicも、下書きのプロンプトがないときに使う「metaprompt」のレシピを公開しています(Anthropic「Prompt engineering overview」、2026-10-14取得)。
つまり、プロンプトを一から考えるのが苦手でも、やりたいことを普通の言葉で伝えれば、AIがプロンプトの形に整えてくれます。
メタプロンプトは何に使うのか?3つの使い方
仕事で使う場面は、次の3つです。
| 使い方 | どんなときに | 例 |
|---|---|---|
| 一から作らせる | 何をどう書けばいいか分からない | 「請求書の確認を頼むプロンプトを作って」 |
| 今のプロンプトを直させる | 答えがぶれる、長すぎる | 「このプロンプトの足りない条件を指摘して直して」 |
| 社内の型にそろえさせる | 人によって書き方がばらばら | 「各自のプロンプトを、同じ項目の型に書き直して」 |
Anthropicは、メタプロンプトを白紙の状態から始める苦労を解決し、改善の出発点を作るための道具と位置づけています(Anthropic「Metaprompt」Claude Cookbooks、2026-10-14取得)。完成品を作る道具ではなく、下書きを作る道具と考えるのが正確です。
メタプロンプトの作り方は?そのまま使える型
メタプロンプトには、作ってほしいプロンプトの目的・使う人・条件を書き、最後に「足りない情報があれば先に質問して」と添えます。Coadexで社内向けに使っている型は次のとおりです。
あなたはプロンプトを設計する担当者です。
次の仕事を生成AIに頼むためのプロンプトを作ってください。
# 仕事の内容
(例:取引先からの問い合わせメールに返信する下書きを作る)
# 使う人
(例:営業事務の担当者。AIの操作に慣れていない)
# 守ってほしい条件
- 出力の形(例:300字以内、です・ます調)
- 入れてはいけない情報(例:個人名、金額)
- 必ず確認する点(例:日付と数字)
# 進め方
1. 足りない情報があれば、プロンプトを作る前に質問してください
2. 役割・目的・材料・形式の順に書いたプロンプトを示してください
3. 最後に、このプロンプトで答えがぶれやすい点を3つ挙げてください
「進め方」の3つ目が大切です。AIに弱点を先に挙げさせると、試すときにどこを見ればよいかが分かります。プロンプトの4つの要素(役割・目的・材料・形式)はプロンプトの書き方で詳しく説明しています。
メタプロンプトを使う手順は?作らせて、試して、直す
メタプロンプトで作ったプロンプトは、そのまま使わずに試してから使います。

- 作らせる:上の型に仕事の内容と条件を入れ、AIにプロンプトを作らせます
- 試す:実際の仕事の例を3つほど入れて、答えを確かめます。うまくいかなかった例を控えておきます
- 直す:うまくいかなかった例と答えをAIに見せ、「この例でも正しく答えるようにプロンプトを直して」と頼みます
OpenAIの資料でも、より性能の高いモデルでプロンプトを改善し、その結果を体系的に評価して効果を確かめる流れを紹介しています(OpenAI Cookbook「Meta Prompting: A Guide to Automated Prompt Optimization」、2026-10-14取得。ページ上でアーカイブ済みと表示されている資料です)。高性能のモデルで作ったプロンプトを、日々の作業では軽いモデルで動かす使い方もできます。
公式のプロンプト生成ツールとは:OpenAI・Anthropic・Google
自分でメタプロンプトを書かなくても、各社が同じ考え方のツールを用意しています。
| 提供元 | ツール | できること |
|---|---|---|
| OpenAI | Playground の Generate ボタン | タスクの説明からプロンプトを作る。既存のプロンプトを改善する |
| Anthropic | metaprompt のレシピ(Claude Cookbooks) | 良いプロンプトの例を多数含む長いメタプロンプトで、下書きを作る |
| Vertex AI の Zero-shot optimizer | 書いたプロンプトを自動で改善する。目的を普通の言葉で書くと指示文を作る |
Googleの説明はGoogle Cloud「Zero-shot optimizer」にあります(2026-10-14取得)。どれも開発者向けの画面です。ChatGPTやGeminiのチャット画面で使うなら、上の型を貼るほうが手軽です。
メタプロンプトの注意点は?万能の型はない
便利な方法ですが、次の3点に気をつけます。

- 最適とは限らない:Anthropicは、metaprompt で得たプロンプトが最適である保証はなく、遠慮なく変えてよいと明記しています(Anthropic「Metaprompt」)
- 1往復の頼み方に向く:同じ資料は、1回の質問と回答のプロンプト向けで、何度もやり取りする使い方向けではないとしています
- 入力する情報に気をつける:仕事の内容を説明するときに、顧客名や社内の数字をそのまま書かないようにします。入力してよい情報は生成AIガイドラインの作り方のように先に決めておきます
なお、論文では「メタプロンプティング」が別の意味で使われることがあります。1つのAIが指揮役になり、専門家役の自分自身に小さな課題を振り分けてまとめる方法を指す例です(Suzgun・Kalai「Meta-Prompting」arXiv、2026-10-14取得)。仕事で調べるときは、どちらの意味かを確かめます。
よくある質問
メタプロンプトはChatGPT以外でも使えますか
使えます。メタプロンプトは特定の機能ではなく、頼み方の型です。ChatGPT・Gemini・Claude・Copilotのどれでも、上の型を貼れば同じように使えます。
メタプロンプトで作ったプロンプトは、そのまま社内に配ってもいいですか
試してから配ります。実際の仕事の例を3つほど入れ、答えがぶれないか、入れてはいけない情報が出てこないかを確かめます。うまくいかない例が見つかったら、その例を見せて直させます。
メタプロンプトと深津式プロンプトは何が違いますか
深津式プロンプトは、人がプロンプトを書くときの型の1つです。メタプロンプトは、その型を含めたプロンプトをAIに書かせる方法です。型を知っていると、AIが作ったプロンプトの良し悪しを判断しやすくなります。
どの仕事からメタプロンプトを試せばいいですか
毎週くり返している文章の仕事から試すのが近道です。CoadexのAI活用セルフ診断で業務と時間を入れると、AIで減らせる時間の目安が出るので、試す仕事を選ぶ材料になります。
出典・参考資料
- OpenAI「Prompt generation」 https://developers.openai.com/api/docs/guides/prompt-generation(2026-10-14取得)
- OpenAI Cookbook「Meta Prompting: A Guide to Automated Prompt Optimization」(アーカイブ済みの資料) https://developers.openai.com/cookbook/examples/enhance_your_prompts_with_meta_prompting(2026-10-14取得)
- Anthropic「Prompt engineering overview」 https://platform.claude.com/docs/en/build-with-claude/prompt-engineering/overview(2026-10-14取得)
- Anthropic「Metaprompt」Claude Cookbooks https://raw.githubusercontent.com/anthropics/claude-cookbooks/main/misc/metaprompt.ipynb(2026-10-14取得)
- Google Cloud「Zero-shot optimizer」 https://docs.cloud.google.com/vertex-ai/generative-ai/docs/learn/prompts/zero-shot-optimizer(2026-10-14取得)
- Mirac Suzgun, Adam Tauman Kalai「Meta-Prompting: Enhancing Language Models with Task-Agnostic Scaffolding」arXiv:2401.12954 https://arxiv.org/abs/2401.12954(2026-10-14取得)



