この記事は中小企業のAI導入の始め方の各論です。プロンプト全般の書き方はプロンプトエンジニアリングとはで扱い、この記事では深津式の型に絞ります。

深津式プロンプトとは:指示を見出しで分けて書く、ChatGPTの型

深津式プロンプトとは、AIへの指示を「役割」「命令」「制約条件」「入力」「出力」に分け、見出しを付けて書くプロンプトの型 です。考えたのは、note株式会社CXOの深津貴之氏です。

名前が広まったのは、2023年2月9日にnoteが配信したイベント「あなたの仕事が劇的に変わる!? ChatGPT使いこなし最前線」です。動画の目次には「「深津式汎用プロンプト」大公開!:ChatGPTをそれなりにいい感じに使うテンプレ」という章があります(note公式YouTube、2023-02-09公開、2026-10-15取得)。同じイベントでは、うまく使うコツとして「可能性の空間を限定する」という章も設けられています。

つまり深津式は、AIが答えうる範囲を、役割と条件で先に狭めてから頼む書き方です。「〜について書いて」と一文で頼むより、答えのぶれが小さくなります。

深津式プロンプトの型は?4つの見出しで組み立てる

深津式プロンプトの組み立て。役割を決める、条件を並べる、入力と出力を分ける
AIが答える範囲を、書く前に狭めます。

深津式は、冒頭で役割を与え、そのあとを見出しで区切ります。広く紹介されている形は、次の4つの見出しです。

見出し 書くこと 例
(冒頭の1文) AIの役割 あなたは、中小企業の総務担当として10年働いてきた文書作成の担当者です
#命令書 頼みたい仕事 以下の入力文をもとに、取引先への返信メールを書いてください
#制約条件 守ってほしい条件を箇条書き 300字以内、です・ます調、日付と金額は入力文のとおり
#入力文 材料になる文章やメモ 相手からのメール本文、伝えたいこと
#出力文 答えを書き始める場所 (空けておく)

深津氏本人も、2023年2月2日のnoteで、役割を与えたうえで「以下の制約条件を厳密に守って」と頼み、条件を箇条書きにする書き方を示しています(深津貴之「ChatGPTにギルガメッシュ王の人格を与えるには?」、2026-10-15取得)。役割と条件を分けて書くことが、型の中心です。

そのまま使える深津式プロンプトのテンプレート

次の型は、深津式の組み立てに沿って、Coadexが社内の文書作成向けに書き直したものです。[ ]の部分を書き換えて使います。

あなたは、[業種]の会社で[仕事]を担当している、経験10年の担当者です。
以下の制約条件と入力文をもとに、最高の[成果物]を出力してください。

#制約条件
・読む人は[相手]です
・文字数は[〇〇字]以内
・です・ます調で、一文を短くする
・入力文にない数字・日付・固有名詞は書かない
・分からないことは「要確認」と書く

#入力文
[材料になるメモや文章を貼る]

#出力文

使える場面の例です。

仕事 役割の例 制約条件に足すこと
返信メール 取引先対応の担当者 相手の質問にすべて答える、お詫びは1回まで
議事録の清書 会議の記録係 決定事項・宿題・保留の3つに分ける
社内のお知らせ 総務担当 日時・場所・持ち物を箇条書きにする
求人原稿 採用担当 仕事内容・条件・応募方法の順に書く

制約条件の「入力文にない数字は書かない」は、Coadexが必ず入れている1行です。AIがもっともらしい数字を補うのを防げます。

深津式プロンプトは今も使えるか?公式ガイドと照らすと

型の考え方は、今も各社の公式ガイドと一致しています。違うのは見出しの記号の付け方くらいです。

深津式の要素 OpenAIの公式ガイド Anthropicの公式ガイド
冒頭で役割を与える 指示の最初に「Identity」として、目的・話し方・目標を書く 役割を与えると、振る舞いと口調が用途に合う
見出しで区切る Markdownの見出しやリストで、指示の区切りを示す 指示・背景・入力をそれぞれタグで囲むと、誤解が減る
制約条件・出力を指定する 入力と、望む出力の例を示す 出力の形式と制約を具体的に書く

出典は、OpenAIの「Prompt engineering」と、Anthropicの「Prompting best practices」です(いずれも2026-10-15取得)。Anthropicは、役割の指定について「一文でも違いが出る」と書いています。

一方で、AIの性能が上がり、短い指示でも意図をくみ取れる場面は増えました。毎回この型で書く必要はありません。答えがぶれる仕事、社内で同じ形の文書を何度も作る仕事に絞って使うのが効率的です。

仕事で使うときの3つの注意点

深津式プロンプトを仕事で使うときの注意点3つ。入力する情報、型の丸暗記、結果の確認
型を使っても、確認の手間は残ります。
  1. 入力文に書いてはいけない情報を決める:顧客の氏名・連絡先、未公表の数字は、業務向けの契約で使う場合を除いて入れません。線引きは生成AIガイドラインの作り方にまとめています
  2. 型を丸暗記しない:深津氏自身、プロンプトを丸暗記したり集めたりしても、AIのバージョンが変わればすぐ変わると書いています(深津貴之「プロンプト・エンジニアリングの真髄とは何か?」、2023-03-20、2026-10-15取得)。覚えるのは見出しの名前ではなく、「役割と条件で範囲を狭める」という考え方です
  3. 出てきた文章は人が確かめる:数字・日付・固有名詞は、入力文と照らし合わせます。型は答えのぶれを減らしますが、誤りをなくすものではありません

メタプロンプトとの使い分けは?

深津式は、自分でプロンプトを組み立てるときの型です。何を条件に書けばいいか分からないときは、AIにプロンプトそのものを作らせる「メタプロンプト」が向いています。

状況 向いている方法
頼みたい仕事と条件が決まっている 深津式の型に書き込む
条件の洗い出しから手伝ってほしい メタプロンプトで下書きを作らせ、深津式の形に整える

メタプロンプトの使い方はメタプロンプトとはで解説しています。

よくある質問

深津式プロンプトと深津式汎用プロンプトは同じものですか

同じものを指しています。2023年2月のnoteのイベントでは「深津式汎用プロンプト」という名前で紹介され、その後「深津式プロンプト」と短く呼ばれるようになりました。

深津式プロンプトはChatGPT以外でも使えますか

使えます。役割を与え、指示と入力を分け、出力の条件を書くという考え方は、OpenAIとAnthropicの公式ガイドでも勧められています。GeminiやCopilotでも同じ型で書けます。

「#」の記号は必ず付けなければいけませんか

必須ではありません。大事なのは、命令・条件・入力の区切りがAIに伝わることです。「#」の代わりに【制約条件】のような括弧や、タグで囲む書き方でもかまいません。

どの業務から深津式プロンプトを試せばいいか知りたい

CoadexのAI活用セルフ診断で業種と業務を選ぶと、AIで時間を減らしやすい業務の目安が出ます。まず、毎週同じ形で作っている文書から試すのがおすすめです。

出典・参考資料